実家の片付けで、きょうだいと声を荒らげた日があります。きっかけは、母が使っていた食器のひと箱でした。私は残したい、きょうだいは手放したい。いま振り返ると、あのとき私たちが争っていたのは食器ではなく、決め方そのものだったのだと思います。もめてから気づいて、決め直したことを書いておきます。
最初は「物が多いからもめるのだろう」と思っていました。実際に片付けを始めると、部屋はどんどん空いていくのに、話は進みませんでした。空いたぶんだけ、次の箱でまた止まる。同じことが何度も起きました。
しばらくして分かったのは、足りていなかったのは分別の基準ではなく、決め方だったということです。
三段目が、いちばん効いていました。感情が高ぶっている机の上で、期限や費用を同時に扱おうとすると、どちらも決まりません。
私たちがやったのは、ノートを2枚に分けることでした。1枚には気持ちだけ、もう1枚には条件だけを書きます。
分けて書くと、気持ちの側は否定しなくてよいものになりました。「それは気持ちだね」と言って置いておき、机に載せるのは条件の側だけにする。これだけで、話が変に長引かなくなりました。
もめた後で思ったのは、先に事実だけを共有していれば避けられた場面が多かった、ということです。私たちが後回しにしていたのは、次の4つでした。
金額は、私たちの家でも自治体のルールと見積りで変わりました。同じ家の中でも、です。だからこそ「いくらか」より先に、「誰が、いつ、どこまで動けるか」を共有しました。ここが共有できていないと、話は人柄の話にすり替わっていきます。
もめている家は、たいてい結論を急いでいます。限られた日に全部決めようとして、決まらないまま日が暮れる。その繰り返しが疲れを溜めていました。私たちは、次の3つを線引きとして決めました。
特に3つ目は効きました。ひとりで進めてしまうと、後から知った側は「勝手に進めた」と受け取ります。進める速さより、戻る場所を残すことを優先しました。
何を確かめれば決められるのか、という順番も決めておきました。
誰が何をもらうかという結論は、私たちの家でも最後まで決めませんでした。それは家ごとに違うもので、外から決められるものではないと思っています。決め方を先に決めておけば、その中身はあとから読者の家で決められます。
この順番を決めてから、話し合いの時間が短くなりました。以前は、思い出の品をひとつずつ取り出しては、そのたびに話がそれていました。写真と条件の紙があると、話を戻す場所ができます。もめた日のことを思い返すと、必要だったのは譲歩ではなく、戻る場所のほうだったのだと思います。
※名義や税金に関わる扱いは状況によって変わります。制度に関わる判断は専門家に確認してください。
もめている最中でも、片付けと処分にかかる考え方だけは先に知っておけます。条件が分かると、話し合いの材料が人柄から条件に戻ります。
実家の売却・片付けを無料で相談する相談は無料 / 費用・条件は各社の案内によります相談は無料で受けられますが、対応してくれる範囲や連絡の方法、日程の調整のしかたは各社の案内によって異なります。費用は地域や時期で異なるため、申し込む前に条件を確認しておくと安心です。
きょうだいで揉めずに済んだ家の話は、あまり聞きません。揉めること自体は、異常ではないのだと思います。大事なのは、揉めたあとに決め方を決め直せるかどうかでした。