「実家を手放す」と決めてから、いちばんつらかったのは手続きではなく、決めるまでの時間でした。まだ何も動かしていないのに、頭の中では荷物を運び出していて、そのたびに胸が重くなる。きょうだいに「まだ決めなくていいよ」と言われても、その言葉にすら少し傷ついていました。同じように、気持ちと手続きの板挟みになっている人の参考になればと思って書いています。
実家のことを考え始めたのは、父が入院して家を空ける日が増えた頃でした。売る、貸す、壊す。どの言葉を検索しても、頭の中では「実家が無くなる」と変換されてしまいます。悲しさは手放したあとに来るものだと思っていたのですが、実際は決める前から始まっていました。
どれも事実ではなく、想像でした。ただ、想像であっても疲れます。だから私は、想像と事実を分けて書き出すことにしました。
ノートを縦に2列にして、左に気持ち、右に現実を書きました。
分けてみて分かったのは、悲しさは事実を変えなくてよいものだということでした。悲しさは抱えたまま、困りごとだけを動かす。「手放す」が「気持ちを捨てる」ではなくなると、調べるのが少し楽になりました。
※名義や税金、相続の扱いは状況によって変わります。制度に関わる判断は、専門家に確認してください。
次に、取りうる道を並べて、それぞれで何を確かめるかを書き添えました。
大事だったのは「どれが正解か」ではなく、「自分は何を減らしたいのか」で選ぶことでした。私が減らしたかったのは、遠くの家を気にかけ続ける負担と、支払いの見通しが立たない不安の2つでした。
売却は、相談から引き渡しまで数ヶ月から1年程度と言われることが多く、かかる時間は地域や時期で異なります。取り壊しは、見積もりから工事の完了まで1〜3ヶ月程度が目安と言われることが多く、費用は建物の大きさや構造、地域で大きく異なります。金額は地域・時期で異なります。先に知っておくとよいのは、金額そのものより「動き出してから結果が出るまでに時間がかかる」という感覚でした。決めてから動くより、迷いながら情報だけ先に集めるほうが、気持ちの負担は軽くなりました。
実際に動いた順番は次のとおりです。
合意づくりで効いたのは、賛成か反対かを聞くのではなく、優先順位を出してもらうことでした。私が優先したのは通いやすさ、きょうだいは手間の少なさ。ここが違うと分かってから、話が具体的になりました。感情の話と金額の話は、同じ場で混ぜないようにしました。
相談先も分けました。名義や税金のように判断の重い話は専門家、売る・貸すの現実的な話は不動産会社。そして気持ちの話は、家族ではなく友人に聞いてもらいました。家族に気持ちをぶつけると、手続きの話が毎回はじめに戻ってしまったからです。
迷っている段階でも、費用と手順の目安だけ先に知っておくと、家族に説明しやすくなります。決めるのはその後でかまいません。
実家の売却・片付けを無料で相談する相談は無料 / 費用・条件は各社の案内によります相談は無料で受けられますが、対応してくれる範囲や連絡の方法、日程の調整のしかたは各社の案内によって異なります。申し込む前に条件を確認しておくと安心です。費用は地域や時期で異なります。
悲しさを消してから決める、という順番は取れませんでした。悲しさを抱えたまま、決められることだけを決めていく。それが結果的に、いちばん後悔の少ない進め方だったと思っています。