見積りの書類を前にして、いちばん長く止まったのは金額の欄ではなく、表題の「解体」という二文字でした。もったいない、という言葉が何度も浮かびました。ただ、その言葉の中身を確かめないままでは動けないと思い、一度分解してみることにしました。
もったいない、と言いながら何がもったいないのかを説明しようとすると、うまく言えませんでした。そこで紙に書き出して、次の3つに分けてみました。
分けてみると、対応のしかたが違うと分かりました。土地と家は事実の話なので、確かめれば納得できます。思い出は確かめようがないので、別の扱いが必要でした。この3つを一緒に抱えていると、いつまでも決まりません。
次に、壊す以外の道を並べました。並べないまま検討すると、目の前の見積りが唯一の選択肢に見えてきます。
並べるだけで、私の気持ちは少し軽くなりました。壊すか、壊さないかの二択だと思い込んでいたからです。
感情ではなく事実で比べるために、道ごとに確かめる項目を書き添えました。
空欄を埋めるのは、自分で調べられる範囲だけで構いません。分からないところは、そのまま窓口や専門家に持っていく質問になりました。
私が最初にやったのは、この項目を1枚にまとめて、分からないところを空欄のままにしておくことでした。空欄が、あとで確かめることの一覧になりました。
費用については、はっきりした金額を書かないことにします。私の家でも、現地の見積りと、自治体ごとの処分のしかたで大きく変わるという説明を受けました。同じ規模の家でも、道が狭い、木がある、残す物が多いといった条件で変わります。金額は書けるものではなく、確かめるものだと思っています。
期間も同じです。見積りから完了まで、どのくらいかかるかは地域と時期で異なります。むしろ先に知っておくべきなのは、金額そのものより「動いてから結果が出るまで時間がかかる」という感覚のほうでした。
※費用・期間・制度の扱いは地域と状況によって変わります。ここでは判断せず、見積りと専門家の案内で確認してください。
実際に動いた順番は次のとおりです。
壊すと決めたあとでも、写真と記録は残りました。家が無くなっても、確かめた順番と、家族と共有した事実は残ります。もったいないという気持ちは消えませんでしたが、その気持ちを理由に決めなくてもよい状態にはなりました。
壊すか残すかを決める前に、見積りで何が変わるのかを知っておくと、家族に説明しやすくなります。決めるのはその後でかまいません。
実家の売却・片付けを無料で相談する相談は無料 / 費用・条件は各社の案内によります相談は無料で受けられますが、対応してくれる範囲や連絡の方法、費用に含まれる範囲は各社の案内によって異なります。条件は地域・時期で異なるため、申し込む前に確認しておくと安心です。
もったいない、という感覚は、たぶん正しいものです。無駄にしたい人はいません。ただ、その感覚だけで決めると、確かめる手前で止まってしまいます。確かめたうえで、それでも惜しいと思うなら、その気持ちを持ったまま次の判断に進めばよいのだと思っています。