実家を手放すと決めたとき、いちばん心配していたのは手続きのことでした。でも実際に済んでみると、つらかったのはそのあとでした。手続きには終わりがありますが、寂しさには区切りがありません。先に決めておいて助かったことを、手放す前の人に向けて書いておきます。
引き渡しが終わって最初の週末、行き先がなくて途方に暮れました。寂しさは「家が無い」ことから来ているというより、「帰る場所がある」という前提が消えたことから来ていたように思います。
手放したあとに来る感情は、手放す前には想像できませんでした。想像できないから備えようがない、と思いかけたのですが、決めておけることはありました。
全部を残すのは無理でも、1箱なら選べます。私は食器を2客と、母の針箱だけにしました。箱の大きさを先に決めると、選ぶ基準がはっきりします。
中身だけでなく、外観、玄関、庭、近所の道順も撮りました。物は手放せても、記録は残せます。あとから見返したとき、想像で埋めなくて済むぶんだけ楽でした。
きょうだいと会う予定、お墓参り、年に一度の食事。家が無くなっても続けられる用事を、手放す前に1つ決めておきました。
同じ「手放す」でも、そのあとどこに住むかで負担が変わります。選択肢を並べて、それぞれの特徴を書き添えました。
手放す話と住む場所の話を同時に決めようとすると、どちらも進みません。私は「家をどうするか」を先に決めて、「住む場所」は後から選び直しました。
住み替えの物件探しは、動き始めてから1〜3ヶ月程度かかると言われることが多く、かかる期間は地域や時期で異なります。引っ越しの費用も、時期や距離、荷物の量で異なります。解体を含む場合は、見積もりから完了まで1〜3ヶ月程度が目安と言われることがあり、費用は建物の大きさや構造、地域で大きく異なります。金額は地域・時期で異なります。手放してから慌てて探すと、時期を選べなくなるので、目安は先に見ておいてよかったと思っています。
家を手放すと、きょうだいと会う理由が一つ減ります。だからこそ、家以外の接点を先に決めました。
相談先は分けて考えました。住まいや売却の現実的な話は不動産会社、お金や制度に関わる話は専門家に確認する。気持ちの話は、家族ではなく友人や同じ立場の人に聞いてもらいました。家族に気持ちをぶつけると、そのあとの相談がしづらくなったからです。
手放したあとの住まいや片付けまで含めると、見通しを立てるのはひとりでは重い作業です。迷っている段階で情報だけ集めておくと、決めるときの負担が軽くなります。
実家の売却・片付けを無料で相談する相談は無料 / 費用・条件は各社の案内によります相談は無料で受けられますが、対応してくれる範囲や連絡の方法、日程の調整のしかたは各社の案内によって異なります。費用や条件は地域・時期で異なるため、申し込む前に確認しておくと安心です。
寂しさは、たぶん残ります。ただ、残す物と残す記録と、帰る理由を先に決めておくと、寂しさの中身は変わります。家が無くなったのではなく、家に頼らなくても続く関係を選び直した、という感覚に近づいていきました。
※ここに書いたのは私個人の実感です。悲しみが強くて眠れない、食事がとれないといった状態が続くときは、無理をせず、公的な相談先も頼ってください。